【島人の目】養子縁組


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 息子が小学生のころ、同級生に韓国から来た子がいた。その子の家に息子を迎えに行くと、黒人、白人、アジア系と肌の違う子供が総勢7人。両親は白人で実子は一人。あとの6人は養子縁組した子供という。

 かなり大きな家だったが、各部屋は足の踏み場もないほど物が散乱。母親は「片付けても散らかる」とケラケラ笑っていた。後日、好奇心にかられて「なぜたくさん養子を?」と質問した。母親は「私を必要としている子供がいるからよ」とさらりと答えたのだった。
 エミちゃんという日本人の女の子を養子にしている白人一家バートン家。エミちゃんは私立の学校に通い、愛情いっぱいに育てられていた。ある時「エミちゃんは幸せだね」と言うと、ミセス・バートンに「そうじゃないのよ。私たちが彼女に幸せにしてもらっているのよ」と言われた。
 沖縄系の女性の中にも子供に恵まれず養子縁組をした人がいる。夫に先立たれた後、自立したその息子(白人)は彼女を気遣ってくれて、頼もしい存在だと言う。
 だが、もう一人の沖縄女性の場合は、思春期になった娘が荒れてしまったそうで「韓国に行って本当の親に会いたい」と言うようになったと、ぎくしゃくした関係を嘆いていた。
 養子縁組は成功する例、うまくいかない例などいろいろあるが、米国では既に160万人の子が養子になり、その中の20万人は海外からだという。それにしても血縁関係を気にしない米国人のおおらかさと寛容さに感激してしまう。
(鈴木多美子、ワシントンDC通信員)