【島人の目】新大統領への期待


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 オバマ新大統領の就任演説は東部時間のハイヌーンいわゆる正午、ロサンゼルスでは午前9時だった。ワシントンから遠く離れた南カリフォルニアでもステイプル・センターやハリウッドなど多くの場所で夜が明ける前に巨大スクリーンで就任の模様を見たいと数万人が集まった。オバマ大統領が1979―81年の2年間在学したオキシデンタル・カレッジに集まった観客は笑顔で満ちあふれ、感涙でむせぶ人の姿が映し出されていた。

 新大統領の宣誓は尊敬する16代エーブラハム・リンカーン大統領が使用した聖書である。演説は約20分、やや黒人英語のアクセントはあるものの格調高い演説であったと私は思う。今回は選挙キャンペーン時に声高らかにかざした「変革」もさることながら、アメリカをつくり直し、復興、促進を進めよう。人種、ジェンダー、世代を超え、結束して疲弊したアメリカ経済の立て直しを優先課題にするのだと強調した。
 アメリカの歴史をひも解いてみると「レベレッジ効果」を見ることができる。危機的状況に陥った時、素晴らしい大統領が采配(さいはい)をふるい再生を果たしてきたのであった。オバマ大統領もその一人に数えられるであろう。「平和・人権尊重の外交」は簡単ではない。カーター元大統領も一期で終わった。テロリスト集団にすきを与えてしまう恐れもある。世界一強権で困難な激務といわれる米大統領の職務、しかし、オバマ大統領ならそれができるであろうと私は期待する。「沖縄の米軍基地縮小」を政策の一部として新大統領が採択していく可能性が込められているからだ。
(当銘貞夫、ロサンゼルス通信員)