【島人の目】香港駐在を終えて


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 このたび、後任者を迎え帰任することになった。好景気と訪日旅行ブームに支えられ、念願の定期直行便も実現した。特に定期便が就航した昨年4月以降、香港ビジネスに対する機運が盛り上がり、多くの県内企業が香港を目指すようになった。
 定期便復活が実現するまで、香港・沖縄双方の旅行会社が、チャーター便を利用した商品を継続販売し大きな実績をつくった。リスクを抱えてのチャーター便運航にしばしば勇気づけられ、需要喚起を手伝いながら直前の航空交渉までフォローすることができた。
 航空路線開設という得難い経験をさせてもらい、4月からは県庁に戻り観光の仕事を続けている。これまでさまざまな企業支援をしてきたが、今後は一点集中し、願わくは新しい市場を開拓し刺激的に過ごしたい。香港やバンコク、シンガポールなど暖かい地域だけでなく、寒い地域からの誘客もやってみたい。香港では観光需要で生まれた航空路線が経済交流を幅広く活発化させている。そういう意味において、観光が「リーディング産業」であるならば引き続きかかわれることをうれしく思う。
 後任の者には、国際的な経済都市香港にふさわしいビジネスの種を探してもらいたい。ビジネス客の往来が増えれば、台北線のように運航頻度を高めることも可能だ。厳しい景気後退の中、沖縄観光の定着による路線安定化や経済交流の幅を広げなければならない弊社香港事務所への変わらぬご支援をお願いしたい。
 (宮城石、県産業振興公社前香港事務所長)