【島人の目】40歳になって


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 自分でも信じられないが40歳になった。振り返ってみて、光陰矢のごとしとはよく言ったものだとつくづく思う。20歳になってなんとなく少年を卒業し、大人の世界に片足を突っ込んだと思っていたら、あっという間に30歳になり、おじさんの仲間入り。起業して、がむしゃらに働いてきて、気がついたら40歳になってしまった自分がいる。

 沖縄で生まれ、沖縄で大学を卒業して、24歳で海外に出て、40歳になるまで海外にいる。人生の半分近くを沖縄以外の地で過ごしたことになる。ただ、気持ちはウチナーンチュのまま。つくづくウチナーの遺伝子は濃いと思う。
 40歳になって、体力の衰えなどから、自分もいずれは死ぬという当たり前のことを実感するようになった。怖いことだが、悪いことではない。
 人生を見つめ直し、日々、有意義に過ごそうと自然に思えるからだ。「40歳になった実感は?」と質問されたとしたら、40歳とは、死を実感し生きるということが見えてくる年かなと答える。また、そう考えられれば、それはそれで楽しめる。
 40歳になって、目標ができた。20―30年の間に沖縄に帰って、人生の限られた時間を過ごしたい。ウチナーンチュとしてウチナーで余生を有意義に過ごせたらいいな。最近、夢に見ることである。
(遠山光一郎、シンガポール現地法人社長)