【島人の目】ワイン遊び


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 イタリアの赤ワインの双璧(そうへき)は「ブルネッロ・ディ・モンタルチーノ」と「バローロ」である。両者のうち、あえてどちらかを選ぶとすれば「ブルネッロ~」に軍配があがる。
 ワインは好みの問題だから一概には言えないが、客観的に見てまたワイン愛好家たちの大方の意見をまとめれば、やはり一番のイタリアワインは「ブルネッロ~」である。

 その「ブルネッロ~」の20世紀100年間のベスト、つまりイタリアワイン全体の最高峰は、1997年物というのが定説である。評判が立つや否や、1997年物は市場からぷっつりと姿が消えてプレミアムが付き、現在はなかなか手に入れることができない。
 僕はそれが出回った当時、あるつてで何本かを手に入れた。何かがあるたびに飲んで今は2本を残すのみとなったが、実はその2本も、もうそろそろ飲み尽くした方がいい、とワインの専門家の義父に言われている。10年を過ぎるとコルクが腐ってワインが台無しになる可能性が高まるのだという。もっと長く寝かせて、しかも安全であるためには10年ごとにコルクを替えた方がいいらしい。僕は今、それで少し困っている。飲んでしまうのも惜しいがワインが台無しになるのも惜しい。しかし、飲んでしまえばワインはもうないが、寝かし続ければコルクの不安はあってもワインは残る。飲まなくてもワインがそこにある、という事実は楽しいものである。そこで1本を飲んでしまって、1本をずっと寝かしておこうかなどと悩ましく考え続けている。
 (仲宗根雅則、TVディレクター)