北京オリンピック開会式で演奏した中国人ピアニストのラン・ラン氏が音楽人材育成のため米国で創設したラン・ラン国際音楽財団奨学金の奨学生に、本紙通信員でドイツ在住のキシュカート外間久美子さん(56)=ミュルハイム市立音楽学校ピアノ常勤講師=の教え子マティアス・ヘーゲマン君(11)がこのほど選ばれた。
今回は、アメリカとヨーロッパから推薦などを経て5人が選ばれた。2004年から5年にわたりマティアス君にピアノを指導している外間さんは「これを機会に大きく成長し、力強く世界に羽ばたいてほしい」と話している。
外間さんとマティアス君の出会いは、オーバーハウゼン市で開かれた青少年音楽コンクール。各年齢別グループで1位を取った外間さんの教え子7人の演奏を聞いたマティアス君の両親からレッスンの申し込みがあり、指導を請け負った。翌日、マティアス君の演奏を初めて聞いた時の印象を外間さんは「6歳でこれだけの音楽性と表現力を持った子は初めてだった」と振り返る。
外間さんの指導の下、マティアス君はエッセン市で開かれたエッセンロータリーコンクールで最年少にもかかわらず2位と聴衆賞を獲得。それがラン・ラン氏の目にとまり、奨学生に決定。5000ユーロの奨学金を受けることになった。
ことし3月末のハンブルクでの奨学金授与式で、ラン・ラン氏からマティアス君に「先生はどこ? とてもよく教えられている。素晴らしい先生ですね」との声掛けがあったと聞き「天にも昇るような気持ちだった」という外間さん。
希少なチャンスを得たマティアス君の話題は、連日ドイツ国内各紙やメディアをにぎわせているという。
7月にラン・ラン氏がエッセンを演奏で訪れる際に、マティアス君のレッスンの予定も組まれているといい、外間さんは「わたしも招待を受けているのでとても楽しみ」と話し、ラン・ラン氏との対面に胸を躍らせている。