【島人の目】不況もウエルカム


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 アメリカ発の金融危機により、景気は世界規模で低迷している。私も株価や企業倒産等のニュースを見てはため息をつくばかり。ただ、頭を抱えているばかりで本当にいいのであろうか?

 シンガポールのビジネスマンと話しても「今はじっとしている時」という人がほとんど。松下幸之助の言葉に「好況好(よ)し、不況更(さら)によし」という言葉がある。不況時にこそ、企業自身やビジネスモデルの欠点が見えて、その修正ができるため長期的にはいいことだという意味だと思う。
 確かに、弊社も収益が落ちてから、さらに努力していろいろなことを考え実行せざるを得なくなり、切磋琢磨(せっさたくま)して事業展開ができるようになった。不況時に赤字を出しても、企業体質を改善させ、その倍の収益を2、3年後に得ればいいだけの話である。多数の優良顧客、幅広い利益源の確保など、今回ではなく次回の不況に備えた準備が必要。
 不況でも強い業種はいくらでもあるし、不況時にいいこともたくさんある。弊社では、出店する場所を確保するのが容易で、よい条件での交渉が可能になった。不況だからといって何もしなければ状態は悪くなる一方であろう。不況だからこそ、やれることを研究し、挑戦していくことができればさらに可能性が増してくると思う。沖縄でも景気はだいぶ悪くなってきていると思う。こういう時こそ、官民挙げて、海外のウチナーンチュとの本当の意味での連携など、幅広い長期的な視野を持ち、行動を起こすチャンスがあると思うのだが…。(遠山光一郎、シンガポール現地法人社長)