【ドイツ】神谷さん家具職人免許取得 ケルン市のコンクールで1位


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 大聖堂のそびえるケルンに2005年、家具職人を目指してやってきた女性がいる。那覇市出身の神谷聡子さん(27)だ。神谷さんは若くたくましい男性たちと対等に、工房で修業しながら、ケルン市立職業学校家具職人クラスで学び、今春、見事ドイツの手工業国家資格である家具職人免許を取得した。

 ドイツでは、その資格なしには家具職人として働くことは許されない。さらに、彼女の卒業作品は、ケルン市の家具職人試験受験者対象のコンクールでグッド・フォーム賞1位に輝いた。今、彼女は家具職人として工房で働き、マイスターを目指して頑張っている。
 琉球大学教育学部美術教育専修卒業後、海外でデザインや家具の勉強をしたいと思いをはせているときに、ドイツの職業訓練システムがしっかりしていることを知った。父・神谷乗仁さんのデュッセルドルフ日本人学校赴任のため、小学校低学年3年間を過ごした思い出の地・ドイツへ渡ることに迷いはなかった。
 ドイツに来て、ドイツ人の住まいに対するこだわりや考え、流行だけでなく今自分にとって何が必要かそうでないか、物を大切にすることを学んだという。そして、ドイツ語という言葉の問題があるため、余計に自分自身がどう感じて何を言いたいのかはっきりさせようと物事をよく考えるようになったという。
 グッド・フォーム賞を受賞したときに、受賞より、言葉のハンディのある自分自身を仲間として受け入れ、受賞を心から喜び、祝福してくれた同僚たちを得たことがうれしかったと神谷さんは語る。「マイスターになるまであと何年かかるか分からないが、これからも家具制作と住まいの環境に携わっていきたい。そして必ず家族と友人たちのいる沖縄に帰ります」と力強く語った。
 (キシュカート外間久美子通信員)

家具職人の国家資格を取得し活躍する神谷聡子さん(前列左端)
神谷さんの作品