【島人の目】クロアチアまで


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 イタリア半島の西海岸は地中海に、ベニスのある東海岸はアドリア海に面している。アドリア海は広い地中海とつながっているから、大きく考えればそこの一部とも言える。狭いアドリア海を隔てたイタリアの隣国の一つは、かつてのユーゴスラビア連邦の構成国、クロアチアである。

 最近、僕はよくクロアチアに遊びに行く。中でもアドリア海沿岸に沿って南北に延びるダルマチア地方を多く訪れる。ダルマチア地方は海洋都市国家ベネチア共和国の領土だった地域である。そこには地中海と同じまぶしい陽光があり、輝く青い海がある。それは沖縄を連想させる。また沿岸にはイタリア側とは比べ物にならない数多くの島が連なっている。美しい島々は瀬戸内海を連想させる。
 一帯にはベニス共和国の遺産である歴史的な町並みや建造物が多く残り、料理もやはりベニスの影響でとてもおいしい。特に海鮮料理はイタリアに匹敵するほどに美味である。さらにダルマチア地方ではイタリア語も問題なく通じる。その上、かつての社会主義国家の例にもれずに、物価がまだまだ安い。
 そうした数々の利点があって、最近僕は妻と二人でクロアチアに休暇を過ごしに行くことが多くなった。今年もこれから夫婦で出掛ける。実はこの原稿はクロアチア行きを前にしてあわただしく書いている。この文章が紙面に出るころは、僕は時々沖縄を思い出しながら、クロアチアの島や海で短いバカンスを過ごしているはずである。
(仲宗根雅則、TVディレクター)