【ロサンゼルス】故郷の芸能 絆深め 100周年前に祭り


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「ぜい」を踊る玉城流冠千会与那嶺恵子琉舞研究所の若い門下生。(左から)天願未春、ジョセフ・ジョーンズ、山内亜希子さんら=アームストロング・シアター

 北米沖縄県人会芸能部(真境名愛子部長)は16回目の芸能祭「謡やびら 踊やびら」公演をこのほど、トーランスのジェームス・アームストロング劇場で開催した。本公演は8月下旬に行われる「北米沖縄県人会創立100周年記念祭」プレイベントの一環を担うもので、500人収容の同劇場は満員であった。

 真境名部長によると、今回はこれまでと多少趣向を変え、琉球舞踊、民謡ともにバラエティーに富んだものにしたという。古典音楽の斎唱、舞踊、民謡、寸劇、琉球國祭り太鼓など、多くの芸能グループによって演じられたプログラムも多彩を極め、盛大であった。
 「イメヌカジ」では歌・サンシン、琴、胡弓、ドラム、キーボード、バンジョーと、琉球芸能に欧米の楽器を取り入れ、古典とコンテンポラリーのアンサンブルとして、異彩を放った。
 「とぅばらーま」を歌った幸地由記民謡研究所の上原一明さんは、八重山出身だが、10歳の時家族で東京に移住、高校卒業後アメリカへと渡った。入門当時は沖縄の方言を理解できなかったという。1年かけてみっちり仕込んだ結果、現在の段階までたどり着いたと幸地師匠は振り返る。八重山の心を見事なまでに表現、会場の観客を酔わせた。
 比嘉朝儀県人会長は「多くの先駆者たちは故郷の歌・サンシン、踊りなどの琉球芸能を“心の糧”とし、異郷の地で、あらゆる艱難(かんなん)辛苦を背負いそれを乗り越えてきた。芸能は同郷人の絆(きずな)を深め、さらにそれを通じて結束し、県人会の発展に大きく寄与する基となったことに、感謝したい」と謝辞を述べた。(当銘貞夫通信員)