【島人の目】きめ細やかさと粗雑さ


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社

 日本のあらゆる公共の場で低姿勢で応対するサービスの良さを、外国人は、感動ものと異口同音に話す。私事であるが、そんな日本のきめ細やかなサービスの中にどっぷりと身を置き、先日、何カ月かぶりかで米国に入国した際、出入国管理官の横柄な態度に接し、税関職員の意地悪としか思えない対応に遭遇した。

 台の上にスーツケースを乱暴に投げられた上、土産の箱が一つ一つ開けられにおいをかがれたり、指で押されてみたり。おかげでスーツケースは乱雑状態。目いっぱい詰めてきた荷物を元に戻すのに四苦八苦の私。国内線乗り換えで時間がぎりぎりだった私のフライト時間を知りながら、人差し指一本のみでタイプをしていたその職員の苦虫をかみつぶしたような顔を見て、「ああー、粗雑な国に戻って来た」と実感する。
 おかげで予定のフライトに間に合わず、5時間後の便に乗るはめに。まず日本では、絶対にあり得ない事であり、日本は、世界一気持ちよく過ごせる国なのではと思いつつ、いや待てよ。果たして日本は、すべてにおいて優しいのかと考える。
 東京では、電車の中で高齢者や子供を抱いている女性が目の前に立っていても席を譲ろうとせず、道でぶつかっても謝りもせずに去って行く。そうそう、大きな荷物を持って駅の階段を上っている高齢者に手を差し伸べていたのは、外国人だった。次の人のためにドアを押して待っていてくれるのは米国では常識。道ですれ違うと「ハーイ」と言って声を掛けるか笑みを返すのが普通だ。道に迷い困っていると米国人は、自ら近づき懇切丁寧に教えてくれる。
 一般的にアメリカでは、見知らぬ人からフレンドリーさを感じる。逆に日本では、利害関係が絡むと親切になり、そうでないと、全く関知せずを通してしまう習性があるのでは。この日米の違い。では、沖縄はと言うと、その中間を行き、ほどほどに良いのではと納得しているのであるが。
(鈴木多美子、ワシントンDC通信員)