【アメリカ】戦争直後の沖縄回顧 米・加州でニシムイ展


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来場者と歓談するスタインバーグ氏(中央)

 戦後、沖縄の美術史の基礎を築いた首里儀保町の美術家村ニシムイの画家らの作品展覧会が9月25日、米カリフォルニア州サンフランシスコ市内の研究所で始まった。

オープニング初日は、会を主催したジェーン・デュレイさんと当時、米軍医師でニシムイ画家らから絵を習ったスタンレー・スタインバーグ氏、サンフランシスコ州立大学の上運天巌ウェスリー准教授らによるパネル・ディスカッションがあり、戦争を軸に、日米それぞれの立場から沖縄の過去と現在、未来をめぐる論議を交わした。
 スタインバーグ氏は、昨年、那覇市の県立博物館・美術館開館1周年を記念した企画講演会で沖縄を訪問。目覚ましく変容した姿に驚いたと話し、戦後の焼け野原のニシムイではぐくんだ沖縄の芸術家たちとの触れ合いを回顧。「絵画によって友情が結ばれたが、支配者と支配される側という二つの異なる立場に苦しさを覚える」と悩むスタインバーグ氏に向かって「戦争とは、勝っても負けても両方を被害者にするものだ」と励ました玉那覇正吉氏(故人)の言葉が今も自分を支えていると語った。
 会場には、水彩画やスケッチ、写真などを含む約50点が展示された。
(平安名純代通信員)