【島人の目】離婚


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 以前住んでいた家の隣人一家は、地元一流企業に勤める夫とソーシャルワーカーのパートの職に就いている妻に1男1女がいて、日々夫婦協力し合って家事をし、週末は、庭の手入れに子供らのスポーツ観戦と絵に描いたようなアメリカの幸福一家の典型だった。何かにつけ世話焼きの彼女から、夫がいかに素晴らしいか、子供らがいかに優秀でいい子かなどと家族の自慢話をとくと聞かされるのだった。

 その後、わが家は、同じ町ではあるが違う学区に引っ越したため、その一家とは疎遠になってしまった。それから7年後、その一家の崩壊を知りショックを受けた。夫に愛人ができ、そのうち妻にも恋人ができ離婚。子供らは、母親に引き取られ、アパートに引っ越し、息子は、荒れて高校を退学したとの事。その一家の件は、わが家における信じられない事件の一つになった。
 受け持つクラスで毎年、生徒の口から「ステップファーザー(義父)、ステップマザー(義母)、ステップブラザー、シスター(義理の兄弟姉妹)、ハーフシスター、ブラザー(片親の違う兄弟姉妹)」という言葉がでてくる。ある年、調べてみたら、クラスの半分近くの生徒の家は、離婚した家族だった。米国では、結婚したカップルが5年以内に離婚する確率は50%といわれていて、離婚によって子供らが受ける精神的な苦痛は計り知れない。ファミリーカウンセラーに通い心のケアをしてもらう子供たちもいる。
 沖縄県の離婚率が全国一高いと聞く。都道府県に比べ、離婚しやすい土地柄なのだというが、DV(ドメスティック・バイオレンス)など深刻な状況が背景にある場合も含め、親の都合で環境が変えられた子供たちの心のケアも考える必要があるのではと思う。
(鈴木多美子、ワシントンDC通信員)