【アメリカ】波照間教授「琉球文学」を講演 県人会100周年記念


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波照間教授の講演(左から仲宗根教授、波照間教授、当銘貞夫通信員と波照間陽さん)

 北米沖縄県人会創立100周年記念の一環として、沖縄県立芸術大学院教授で文学博士の波照間永吉氏がこのほど「琉球文学にみる沖縄人の心性―琉球文学の固有性をめぐって」と題し講演した。

 講演では、琉球文学の名称の説明と、本講演は2003年に編集された沖縄の高校生のための教科書「新編 沖縄の文学」に基づいたものだと説明された。琉球文学の出発と言語、「祈りの文学」の示す琉球文学の固有性、祈りの心と「おもろさうし」、叙事的歌謡の示す独自性、劇文学と抒情詩の世界、新しい琉球文学の構想などに関する大まかな説明があった。
 波照間教授は「最後にあらためて確認したいことは、私自身の研究と今後の若い人々の研究にとって大切なことは、琉球文学の固有性に立脚した独自の体系を構想していくことだろう。私にとって琉球文学の固有性とその価値を追究することは、琉球・沖縄文化さらには私自身のアイデンティティーを考えるとき、避けることのできない問題だ」と結んだ。
 波照間教授は八重山高校卒、琉大法文学部、法政大学院博士課程修了、文学博士号を取得。『定本 おもろさうし』他多数の著書、沖縄文化協会賞他数賞を受賞している。
 講演はカリフォルニア・バークレーにあるテオロジカル・ユニオン総合宗教大学院ロナルド仲宗根教授が英訳を務めた。仲宗根博士はハワイ生まれの沖縄3世で、仏教学者。『オキナワン・ダイアスポーラ』などの著書がある。
(当銘貞夫通信員)