【島人の目】望まれない存在


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 終わらない戦争に終止符を打とうと、米政権がアフガン戦略の見直しを図る米国内で、「泥沼化の原因は米軍の存在ではないか」という議論が台頭し始めている。先日宜野湾市で開かれた県民大会の記事を掲載した米主要紙にも、在外米軍基地の存在をめぐり、さまざまな意見が寄せられた。

 「終戦から60余年が経過したのにまだ米軍の駐留は必要なのか。時代とともに米の方針も変化すべきだ」と疑問を呈する元米兵の意見に、「世界各国の基地は役目が終われば撤去するのが当然」と同調する声。
 これに対し、必要性を説く人たちは「基地がなくなれば経済的打撃が大きいし、基地反対と叫んでいても、北朝鮮がミサイル発射となれば米軍の助けを借りに来るに決まっている」「撤去を求める国は米への感謝が足りない。日本もドイツも韓国も、米軍の保護下にあったからこそ繁栄が築けた。もう不要というのなら、防衛はそれぞれの国に任せればよい」と声を荒らげる。
 その傍らで「ドイツ駐留時、米軍が望まれた存在ではないと感じた。基地撤去を求める国々の声に米が耳を傾けるのに、一体何が必要なのか」と外側からの視点を促す元空軍兵や「世界中にこんなにたくさんの基地を持っているのはアメリカだけ。基地を抱える国々が団結して撤去を唱えれば米も動く」と呼応するIT技術者など論は深まるばかりだ。
 「変化」を訴えて勝利を手にしたオバマ政権に、米市民たちは米軍基地は望まれない存在なのではないかという新たな問いを投げ掛け始めた。
 日本とアメリカの民意が日米両政府をどこへ向かわせるのか。平和を求める市民の視線は今、普天間に熱く注がれている。
(平安名純代、ロサンゼルス通信員)