【島人の目】背信行為の行く末を憂う


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 「英雄色を好む」。マジック・ジョンソン、マイケル・ジョーダン、コービー・ブライアントなど枚挙にいとまがない。プロバスケットボール選手で1962年に1ゲーム100ポイントのスコアを出し、いまだかつて記録が破られていないスーパースター選手ウィルト・チェンバレンは多くの大記録を残して99年に死亡するまで、万人に近い女性と性交渉を持ったと告白した。

 タイガーも例外ではなかったのである。彼が抱えている問題は家族、特に妻に対して背信行為を続け、真相を明らかにしなかった点にある。メディアは「だます、信頼を裏切る」などの強い表現を控え、「インフィデリティー(背信)」と柔らかい表現にとどめたが、それはタイガーの過去の功績を尊重してのことだろう。
 2009年の「年間最優秀選手」に選ばれたものの、ここに来て問題はさらに大きくなった。離婚・家庭崩壊・ロールモデルの挫折・新たに筋肉増強剤の使用疑惑などの危機の憂き目にあり、大手のスポンサーが続々とタイガーとの広告契約キャンセルを考慮し始めた。LAタイムズのコラムニストは、ナイキ、AT&T、など大物広告会社の契約破棄をコラムで主張し、冷めた見方を強調した。
 「おごれるものひさしからず」のたとえにもあるように、いま、タイガーに必要なのは、投げやりな態度を慎み、真摯(しんし)に意欲をもって前進することではないか。彼の行動は全世界の人々の関心の的であることを肝に銘ずることだ。今からでも遅すぎることはない。背後には多くの若者がアイドルとして行く末を見守っていることを明記してほしい、と願うのは私一人ではあるまい。
(当銘貞夫、ロサンゼルス通信員)