「思いやり予算」は、英語表記で「omoiyari yosan」で通用するらしいが(公式表記では、「Host Nation Support」)、アメリカのもろもろのメディアでお目にかかったことがない。
以前、沖縄に海兵隊として駐留していた友人に米軍駐留経費の7割を日本側が負担している事を話すと「とんでもない。そんな事聞いた事がない。地代もアメリカが負担している」ときっぱり言われた。ある兵士の「住居費等米軍が払ってくれている」とのコメントがネットにあった。日系、沖縄系ワイフらに「光熱費から建設費等、年間約6000億円が日本側の負担」と言うと「まさか!」の一言にこっちの方が「え~知らない。まさか」であった。「思いやり予算」の存在を知っているのは、軍のトップらに限られ、一般のアメリカ国民には認知されていないのではと思う。在日米兵の地元民に対する傍若無人な振る舞いは、「おれたちアメリカ人は、日本国民のために金を使い、命を懸けて守ってあげている。ちょっと悪さしただけで文句言うな」的心理が働いているのでは。
1978年に当時の金丸信防衛庁長官が「米兵はわざわざ日本に来て、有事の時は血も流してくれるので、日本側は、思いやりの立場で対処しよう」と自発的に行うニュアンスで「思いやり」という言葉を意識的に使ったと言われるが、その真相は、米軍から負担拡大を要求された事を隠すためであったと言われている。ドイツの111倍、韓国の6倍ものお金を支払い続けるお人よしの日本。巨額な負担が、米軍がいつまでも駐留している要因でもあると思う。(鈴木多美子ワシントンDC通信員)