【アメリカ】県人意識や生活取材 米大学院生 基地問題への視点も


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ロサンゼルス市主催の「桜祭り」に招待され、市庁舎での晩さん会に出た(左から)サイプさん、三重さんと県人会の会員ら

 カリフォルニア州立大学バークレー校の大学院修士課程に学ぶ三重綾子さん(31)とタイラー・サイプさん(28)、リンゼイ・ワサバーガーさんがロサンゼルスを訪れ、北米沖縄県人会会員らにインタビューを実施した。3人ともジャーナリズムを専攻、卒論に沖縄を取り上げている。

 三重さんが立教大を卒業、働き始めたのは2001年。TBSで初めて担当したのが、筑紫哲也さんのニュース23。仕事を始めて半年もしない9月11日、米中枢同時テロが起き、特別班としてテロ直後のニューヨークに送られた。
 曲がりなりにも仕事は済ませたが、英文ジャーナリズムの視聴者に語り掛けるライティングスタイル(記事の構成)に魅力を感じ、フルブライト奨学金を得てUC Berkeleyのジャーナリズムスクールに進学。論文作成の中で、日本とは違った独特の文化を持ち、社会構造的にもアメリカの移民の歴史でも、日本本土出身者とは違うウチナーンチュとの出会いを通し、日本の歴史をもっと勉強しなければならないと痛感した。そして、ウチナーンチュが沖縄文化の保存や次世代への継承に力を入れていることに非常に感銘を受けた。アメリカに住むウチナーンチュがどのような思いで生活し、基地問題をどう見ているのかを日本に発信したいと修士論文の題材に沖縄を選択した。
 サイプさんは4分の1日本人の血をひくシアトル生まれ。祖母は山口県出身。5月にバークレー校教授のアシスタントとして沖縄へ行き沖縄の食事情を調査をすることになっている。
 「県民はグローバリゼーションの影響でファストフードが多くなり、長寿沖縄のイメージが変わりつつあるのではないか」と話し、リポートがワシントン・ポスト紙に掲載されることになっている。日本の歴史に興味があり、研究を重ねるうち読売新聞社の目に留まり、日本へのインターンシップ(企業研修)の機会が与えられ、ニューヨーク・タイムズで仕事ができるようになった。「将来はもっと日本語を勉強し、日本でジャーナリズムの仕事に従事したい」と抱負を語った。
 ワサバーガーさんはフォト・ジャーナル(写真報道)を専攻、沖縄県人会のイベントをカメラに収めていた。
(当銘貞夫通信員)