【ペルー】奨学基金を設立 日系人の学生支援


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 在那覇ペルー共和国名誉領事館の呉屋守将名誉領事はこのほど、2006年から沖縄ペルー協会(比嘉憲太郎会長)主催で開催し、積み立ててきたペルー独立記念チャリティーゴルフコンペの収益金を「在那覇ペルー共和国名誉領事館奨学基金」として急きょ立ち上げた。

 日系人学校に通っている帰国子女の中から、経済的に困っていて、向学心に燃えた生徒2人に認定証と奨学金2250ドルが届いた。
 一昨年、米国のサブプライムローン問題に端を発した世界同時不況で、日本に出稼ぎに来ていた多くの日系ペルー人が職を失うという経済的な打撃を被った。職と住む家を失い、十分な食事さえ取ることもできず、中でも就学期の子どもを抱えた多くの家族は、授業料さえ支払うこともできず、帰国を余儀なくされた。
 そうした中、窮状を知った在那覇名誉領事館が立ち上がった。ペルー沖縄県人会のビクトル安里会長を通して、ラ・ウニオン日系小中学校(ヨランダ名幸校長)中等部4年生の中からオスカル新垣君とセルヒヨ仲村君が選ばれた。
 認定式には名幸校長、ロレス・フェルナンド父兄会長、新垣君と仲村君、その家族が出席。県人会からもビクトル安里会長ほか幹部、顧問らが参加した。
 冒頭、安里県人会長から、奨学金制度の趣旨が説明され、名幸校長から呉屋名誉領事と県人会に感謝の意が述べられた後、生徒と家族も、それぞれお礼を述べた。
 名幸校長は「出稼ぎに日本に行っていた家族が経済的事情で戻って来た。日本で生まれ育った子どもたちも多く、スペイン語力が弱く苦労している。この度の制度に準じた2人は、成績優秀で、向学心に燃え、将来有望な人材としての人格を備えた生徒たちで、呉屋名誉領事の多大なご理解とご支援に深く感謝しています」と述べた。こうした制度を今後も続けてほしいとも付け加えた。(赤嶺光弘通信員)