【キラリ大地で】米国/クワロン下地のりこさん 地域の健康を管理


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沖縄の長寿者の健康の秘訣を次世代に受け継ぎたいというクワロン下地のりこさん=北米沖縄県人会会館

 米国在住の県系人へのインタビューを通し、ウチナーンチュの長寿の秘訣(ひけつ)を探るなど、教育者、看護師として活躍する宮古島出身の女性がいる。クワロン下地のりこさんは1987年に渡米し、看護師として働く傍ら、大学に通い実践、研究を重ねてきた。

 「私の人生を変えた大きな出来事がありました。それは宮古の病院で看護師として働いていた84年に沖縄県看護協会主催のハワイ研修に参加したことでした。なんと米国の看護師のレベルは高いのかと感激し、米国留学を決意したことで、それ以降米国で生活することになったことです」と下地さんは切り出した。
 1953年生まれ、宮古高校を経てコザ看護学校を卒業、県立那覇病院、宮古病院で勤務した。87年に渡米、91年にリバーサイド市立大を卒業、米国の正看護師の免許を取得、ロサンゼルス郡の日系敬老ナーシング・ホームで勤務した。93年暮れ、友人の紹介で知り合ったラルフ・クワロンさんと結婚、リバーサイドに戻った。
 2002年に医学部で有名なリバーサイド郡にあるロマリンダ大学の看護学部を卒業、臨床看護から地域看護に視点を移し、日本と米国、およそ25年間の経験を通し病気の予防、人々の健康教育の大切さに興味を持った。同年の夏には、城辺町(現宮古島市)で「健康促進―沖縄の健康な食生活と文化を守ろう」とのテーマで講演した。
 看護経験を基礎としての健康教育者への道はその後も深まり、06年にロマリンダ大の修士課程に入学、保健師として働きながら、10年6月に卒業した。
 下地さんはロマリンダ大学で健康教育者、看護師として公衆衛生学のマスター・ディグリー(修士課程)で「沖縄のロンジビティー(長寿)―長寿の遺伝」をテーマに、北米沖縄県人会の長寿者約8人をインタビューし、論文を完成させた。
 沖縄の長寿はアメリカの沖縄系人にも果たして共通性が見られるだろうか、との疑問から出発したのだ。遺伝もあるが、文化の中に染み付いているとの結論に至った。朗らかな生活スタイルで前向きであり、ボランティアとして他人のために体を動かすなど毎日活動的であることなどが共通しているという概念を確認することができた。
 現在、リバーサイドの健康管理部で保健師として働きながら、地域の健康管理に専念する。「沖縄の長寿は世界的に有名、しかし最近の統計ではその概念が崩れかかっている。ウチナーンチュのヘルス・プロの一人として私が感じていることは『沖縄の長寿者たちに学び彼らの健康の秘訣を次の世代に受け継ぐ義務がある』ということではないか」と強調した。
(当銘貞夫通信員)