【ペルー】天然ガス需要に商機 伊是名出身仲田さん スタンドを開所


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開店祝いの席上、天然ガススタンドの開所を喜ぶ仲田勝信さん(右から2人目)とその家族

 リマ市内で最も交通の激しいビクトリア区のカナダ大通りに、近年タクシーなどへの需要が著しい天然ガス・スタンドを、仲田勝信さん(伊是名村出身)がこのほどオープンした。ガソリンより安価で、二酸化炭素排出量も少ないとされる天然ガス車は環境面からも注目され、ペルー開発金融公社が普及のための融資をするなど、国を挙げて公共交通への天然ガス車導入を推進している。

 アルベルト・フジモリ政権下(1990~2000年)で石油企業大手のシェルによって、クスコ県の森林地帯で採掘された天然ガスは、生産量の50%が国内向けに、残りの50%が海外へと輸出される。最近、新たなガス田が発見され、リマ市内でも一般家庭などではプロパンガスよりも安価な天然ガスが利用される。
 仲田さんは父清吉さん、母せつさんの間に6人きょうだいの長男として生まれ、1963年、27歳のとき、叔父の招きで単身ペルーに渡った。その後独立しレストランなどを経営した。85年、アラン・ガルシア政権の誕生後、テロと超インフレが国中を襲った。国外に出て行く企業が続出、イタリア系企業からガソリンスタンドを譲り受けたのが最初のスタンド経営だった。その後、テロ撲滅と超インフレ対策を掲げたフジモリ政権下で、安く抑えられていたガソリン価格が一夜にして35倍に上がり、消費税も6%から18%に引き上げられた。
 国の経済を窮地に追い込んでいたテロ活動や超インフレも終息に向かい、ガルシア政権下での窮地をビジネス・チャンスに転換した仲田さんの決断が今日の成功に結び付いている。
(赤嶺光弘通信員)