【島人の目】車社会、沖縄


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 米国の郊外に住んでいると、住宅街と商業区が離れている上、公共バスサービスも網羅されておらず、車がないと生きていけない。里帰りすると、自分の足でどこにでも行けるのが新鮮で、自らの足を使って那覇のマチグヮー(市場)への買い物、散策などを楽しんでいるのだが、米国の1車線の道幅よりも狭い2車線道路に車が走行し、時に命懸けで車をよけなければならない時も。実に危ない。「人優先でなく、車が威張っている」のを感じる。

 実家近くの小学校。クラブ活動を終えた子どもたちを迎えに来た車が道いっぱいに並ぶ。エンジンをかけたままの車もあり、通るのもままならない。なぜ子どもたちと一緒に歩いて帰らないのだろう。疑問である。
 沖縄のドライバーのマナーの悪さも実感した。平気でどこにでも駐車する、窓からのポイ捨てはする、ドライバーの教育を徹底すべきだと感じた。
 さらに閉口することは、排ガス。鼻と口にハンカチを当てねばならない。排ガスは、有機化合物を含んでいる侮れない気体。調べてみると、地球温暖化の原因となる二酸化炭素(CO2)や毒性の高い一酸化炭素。また、光化学スモッグを引き起こし、呼吸器等の粘膜を刺激し、農作物への悪影響もあるといわれている炭化水素等々。そして、さらに怖いのが、ディーゼル車から排出される浮遊粒子状物質で、それは、肺がんの原因になるという。
 沖縄は、CO2排出量が多いと言われている。低公害車の保有者数は、全国最下位で、排ガス抑制後進県の汚名もある。この際、県は、県民の健康管理のため、ノーマイカーデーを実施し、まず、第一に歩くことを奨励したらいかがなものか。運動不足で全国一肥満県の汚名も返上され、一石二鳥となる。
(鈴木多美子、米バージニア州通信員)