【島人の目】米メディアの未来


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 カリフォルニア州立大で沖縄県系人社会や日系人社会の研究をした三重綾子さん(31)がウオールストリート・ジャーナル(日本語版)にコラムを掲載している。三重さんは現在、米国のインターネットサービス大手AOLが出資する超地元密着型報道機関Patch.comの記者を務め、サンフランシスコ近郊で取材活動に当たる。

 三重さんは「ロサンゼルス・タイムズやシカゴ・トリビューンを経営するトリビューンが2008年12月、日本の民事再生法に当たる米連邦法11条の適用を申請。さらに、無数の地方紙が廃刊に追い込まれたために、『メディア不在』の地域まで生まれ、ジャーナリズムに支えられてきた米国民主主義の根底を大きく揺るがす状況となっている」と現状を指摘。一方で「新たなジャーナリズムの形も生まれている。新たな市場として開拓を進めるウェブによる『ハイパーローカル(超地域型)・ジャーナリズム』だ」としている。
 活字型メディアにコンピューターが取って代わった。Patch.comの記者はツィッターやフェースブックを利用して家庭で24時間体制で働く新システムだ。どのような展開を見せるか未知数ではある。
 フェースブックの創立者マーク・ザッカーバーグ氏は26歳にしてビリオネア(10億ドル長者)になった。今やフェースブックは使用時間数においてヤフー、グーグルを抜いて1位になったとロサンゼルス・タイムズが報じている。フェースブックをシリコンバレーで始めたのが6年前の高校生時代。マイクロソフトの創立者ビル・ゲイツ氏と同様ハーバード大へ進学、短期間でここまでたどり着いたメディアの巨人となった。
 日本の若者のアメリカ留学が激減しているというが、ここには第2、第3のビル・ゲイツが登場する土壌がまだ残されている。世界の若者にとって魅力に満ちあふれた国であることは間違いない。
(当銘貞夫、ロサンゼルス通信員)