【アメリカ】笹本さんNY取材旅行 96歳、女性報道写真家第1号


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宮城万里子さん(右)に取材する笹本恒子さん

 日本の女性フォトジャーナリストの第1号で、96歳の今も現場を駆け続ける笹本恒子さん=東京都=がこのほど、取材でニューヨークを訪れた。ニューヨークでは石垣市出身のヘア・メーキャップアーティスト宮城万里子さん(35)をはじめ、日本人女性5人を取材。互いにクリエーティブな世界でフリーランスとして生きる共通点を持つ2人が、互いに尊敬し合いながら語らう姿は印象的だった。

 笹本さんのニューヨーク取材の目的は「この地にしっかり根を下ろし、今成果を上げつつある日本の若い女性」を取材することだという。取材の日程は正味5日間。対象人物はニューヨークの警察官や大手通信社で経済を担当する記者ら5人に絞った。
 その中に宮城さんが含まれていた。宮城さんは八重山高校を卒業し、日大芸術学部で映画を専攻した。映画制作を学ぶうちに衣装やメーキャップに目覚め、卒業後にアメリカ留学し、ヘアとメーキャップを学び現在に至る。
 世界中からヘアデザイナー、メーキャップアーティストが集まり、腕を競う大都市でプロとして認められ、永住権も獲得しフリーで活躍している姿に、笹本さんが感動と興奮を覚えながら聞き取りと撮影が行われた。
 笹本さんは写真家協会が発足した1940年からのメンバーだ。
 画家志望だった少女時代、絵の具代のためにアルバイトで新聞のカットを描いていた。そんなある日突然新聞社の部長に写真家の林謙一氏を紹介された。「女性の目で見た写真を撮るといい」と林氏に言われ、いきなり当時としては大変高価なドイツ製のカメラ「ライカ」を渡された。カメラのことも写真の技術も全く知らないまま報道写真に飛び込んだ。
 豊富な失敗談を笑いながら語るが40年、日独伊三国同盟の婦人祝賀会や皇紀2600年記念式典を撮影し世界に発信したことが実力を証明する。
 マンハッタンの東西南北を駆け巡り、ブルックリンまでも足を延ばす多忙な取材ぶりは、はつらつとし、さすがベテラン報道写真家と思わせた。(比嘉良治通信員)