【島人の目】メディアを読む


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 今年6月、韓国系の知人の娘がロサンゼルス近郊の高校を優秀な成績で卒業した。アイビーリーグのエール大学から全額奨学資金提供での入学招聘(しょうへい)の通知をけって、その娘はプロゴルファーへの道を選択した。ちまたでは「なんともったいない話だ」と気をもんでいるが、本人のチェンジ・マインド(気持ちを変える)はなさそうだ。進学しないのは、女子プロゴルファーで韓国系のミシェル・ウィーがスタンフォード大に進学し、ゴルフとの両立の難しさを見ているからだろう。

 今やUSLPGA(米女子プロゴルフ協会)の上位を韓国生まれのプレーヤーが占める。
 半年ほど前のことだが、外国生まれのプロゴルファーに英語のテストを義務付けるよう真剣に考慮されたことがあった。パスしたものだけに参加権を与えるというのだ。優勝時のテレビインタビューで英語が話せないと視聴率に影響するという。
 この話は結局「人種差別につながる」との判断に基づいて立ち消えに終わり、アメリカ民主主義の面目を保つことができたのはうれしいことであった。テレビのプロゴルフ中継を見て感じることだが、中心に映るのがアメリカ生まれの選手である。以前のUSLPGAのテレビ中継は年間33回あったが、最近では28回に減ったという。果たして原因はどこにあるのか。
 数年前、日本のリーダーが沖縄の新聞報道を批判したことがあった。東京を中心とする県外メディアと沖縄のメディアのニュースの取り扱いに大きな変化があることを読者は見て取らねばならない。
 背景に何が隠されているか、何が目的なのかなどを見極める力をメディア・リテラシーという。情報を評価・識別する能力のことで各種の背景を読み取り、情報の取捨選択を行う能力のことである。情報が氾濫している今日、メディア・リテラシーの役割が増しているのは事実である。
(当銘貞夫、ロサンゼルス通信員)