【フランス】「あけずば」パリに舞う 上原美智子さん織物作品展


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パリで作品展をした上原美智子さん

 南風原町在住の織物作家、上原美智子さんの作品展がこのほどパリで開催された。作品展のタイトル「あけずば」は、沖縄方言で「トンボの羽」という意味。そのタイトル通り、上原さんの作品は極細の絹糸を使い、繊細で光を通し、その軽さと美しさはまさにトンボの羽、いや天女の羽衣とはこういう織物のことを言うのだと思わせるほど幻想的な作品だ。

会場には多くのフランス人がひっきりなしに訪れ、中には、作品に魅せられて何度も見に来る人もいた。
 この作品展を企画したアミティエ・ティセ協会代表の田部淑子さんは「上原さんの作品は伝統織物ではないが、独自の制作工程と世界観を創り出した稀(け)有(う)な織物作家」と評価する。さらにその認識は田部さんにとどまらず、世界の織物のエキスパートを中心に広がっているという。そんな中でも常に自然体で活動を続ける上原さんは「沖縄にいる地の利のおかげでこの作品は作れる。沖縄の湿気、植物、空気、そして歴史を通して現代に生きる私たち。理屈抜きで美しいものは、何か言葉では表現できない根源的なものを内包している。それは伝統的なもの、現代的なものと区別ができるものではないのではないでしょうか」と語る。
 そんな上原さんの在り方に、世界に通用する作品を生み出すことができる理由を垣間見ることができた。上原美智子さんの作品や展示会の予定はホームページ(http://www.michiko-uehara.jp/)で見られる。(大城洋子通信員)