【ブラジル】助け合いの心後世へ 県人会サント・アンドレ支部


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社
式典で謝辞を述べる支部相談役の山城勇さん

 沖縄県人会サント・アンドレ支部(喜納ジョルジ支部長)が創立55周年を祝い、同支部「うるま会館」でこのほど、記念式典と祝賀芸能祭を催した。式典では苦労を重ねて今日の繁栄を築いた先人への感謝を表すとともに、ウチナー文化の継承を誓った。

同支部はサント・アンドレ市立博物館と提携し、55周年を記念して「沖縄県人移民文化・資料展」を2011年6月末まで開催。鍋、石臼、味噌甕(みそかめ)などの生活用具や移民初期の写真、教科書、笠戸丸移民の手紙などが展示されている。
 特別功労賞を受賞した山城勇さんは「こういう素晴らしい式典を催すことができるのも会員の結束力のたまものである。ウチナーンチュの助け合う心を大事にし、後世に伝えることも私たちの義務だと思う」と述べた。
 支部留学生・研修生を代表して稲福カリーナさん(2003年、琉球大学)が「留学したことによってウチナーンチュの子弟であることの価値を認識した。先人にならって私たちもいろいろな活動を通して沖縄の文化を広めていきたい」と謝辞を述べた。
 祝賀演芸会では、会員の孫世代が主に舞台を務め、琉球舞踊、民謡、合唱、ダンス、空手などを披露し、400人余の来場者は盛んな拍手を送っていた。最後は勇壮なレキオス太鼓に合わせてカチャーシーで幕を閉じた。
 サント・アンドレ市はサンパウロ州の東南部に位置する人口約70万の工業都市。日系人は約2万人。同地での沖縄県人の歴史は、第2次世界大戦中に敵性国人としてサントス沿岸地域から退去させられ、移り住んだ大城助一・ウト夫妻から始まる。1955年に支部を結成。現在の会員は約230家族。糸満市出身者が多い。
 式典は支部創立55周年のほか、うるま婦人会(玉城安子会長)創立40周年、老壮会(川平賀永会長)20周年、第30回敬老会を併せて祝い、高齢者・功労者表彰を行った。(与那嶺恵子通信員)