【島人の目】記事の背景


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 南カリフォルニアの9月下旬は真っ青な空が山の彼方まで続く。そんなある日沖縄の会社社長から電話がかかってきた。「今からシアトルまで出掛けてイチローに三線を贈呈したい。記事を書いてください」という。私は「去年もその記事をアナハイム球場に出掛けて書いたので今年はお断りします」と返事した。

 4、5日たって今度はシアトルからの催促であった。私は「なぜイチローのような金持ちに50万円もする三線を贈呈するのですか。それより沖縄の学校に寄付されたらどんなにか喜ばれるはずですが」と反論した。社長いわく「日本人のイチローが世界的に有名になったことがとてもうれしい。いつの日かイチローが三線に興味を抱き、沖縄の文化を世界に伝える日が来るとの信念を持っているのです」。
 私は記事を書くことに同意した。
 「思考がワールドですね。感動しました。次の『世界のウチナーンチュ大会』にイチローが三線片手に参加した映像がユーチューブから流れたら、すごい反響を呼ぶでしょうね。記事も、その時の興奮が伝わってくるようです」と沖縄県文化振興会史料編集室の城間良昭さんは私に感想を送ってきた。
 記事やエッセーが掲載されて感想などが読者から寄せられると、とてもうれしい。「メディアを読む」のエッセー(6日付本欄)に対して大学院生の波照間陽さんから「ゴルフに英語のテストを課さないという結果になってアメリカの素晴らしさを知ることができました。フェアープレイということの意味も考えさせられました」と思慮深いメールが届き感謝した。
 組踊がユネスコ世界遺産に登録された。昨年もまた琉球文化・芸能にとっては銘記すべき年となった。今年は第5回ウチナーンチュ大会だ。本場でじっくりと組踊を堪能したい。(当銘貞夫ロサンゼルス通信員)