【島人の目】繋がり


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 沖縄本島南部に教育施設を開いたある知人女性から「地元の人との交流を望んでいるが、よそ者と見なされ仲間入りは難しい」と聞かされた。南部出身の知人は、彼女が住むまちを「保守的な地域性で、新移住者は歓迎されない」と話す。中北部の土地を物色していた中年夫婦は、地元の人たちの歓迎の薄さを聞かされ、計画をやめてしまった。友人の知り合いが沖縄に憧れて移住の夢を実現させたが、いつまでも「ナイチャー」としか見てくれず本土に戻った話など、沖縄の排他的な一面を知り、複雑な気持ちになった。

 そんな話を聞いた中、昨年帰省した際に南部のある集落の結婚式に参列した。花婿は地元出身で、花嫁は外国の女性。会場は、その地域のコミュニティーセンター。地元の青年会と婦人会の人たちが、会場の飾り付けから宴会のセッティングまで手掛け、披露宴には、新郎の同僚や地元の老人会の人たちも参加し、余興、そして爆竹や仕掛け花火で二人を祝福した。
 手作りの結婚披露宴も終盤に近づいた時、参列者の一人一人が花嫁に「おめでとう」とあいさつし、「婦人会にぜひ」「踊りに参加して」と握手し、声を掛けていた。花嫁は、歓迎されていることに感動し、異国での不安がいっぺんに吹き飛んだ様子。感激の面持ちで終始満面の笑みだった。
 後で、青年会のメンバーは移住者だったり、お嫁さんのほとんどが県外や他の市町村から嫁いできたことを知り驚いた。全員が和気あいあいと地元に溶け込んでいたからだ。「イチャリバチョーデー」(出会えばきょうだい)の沖縄の心が生きていて、誰でも受け入れる包容力のあるその土地柄と家族的な繋(つな)がりを知り、豊かな気持ちにさせてもらった。糸満市賀数集落のますますのご発展を。
(鈴木多美子、米バージニア州通信員)