【島人の目】沖縄らしさ


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社

 里帰りで、幸せを感じることの一つは、沖縄の良さを再認識できる沖縄らしさに会えることである。エメラルドグリーンの海や青い空、赤瓦の屋根の上のシーサーや南国の鮮やかな花や木々など、見ているだけで癒やされる。そして、沖縄伝統芸能と文化などに触れるだけで優しくなれる。

 だが、悲しいかな、コンクリートジャングル化した那覇の街。県外から訪ねて来る友人たちが異口同音に「那覇って期待していたのと全然違う。なんら変わりない地方都市ね」なんて言う。そして、沖縄らしくない最たるものが、あの県庁のビル。げんなりである。有名な建築家の設計だというが、あれは、ただの箱ではないか。友人らの評判もすこぶる悪い。
 那覇市役所が仮庁舎に移転し、いよいよ新市役所の建設が始まったが、果たして、どんな建物になるのか。新しい那覇市役所は、地元の建築家による地元の人のための地元に愛される沖縄らしいものであってほしい。
 積極的に地域の特性を生かしたまちづくりをしている集落に足を踏み入れると、そこで暮らす住民の心意気と優しさに接し、幸せ度が100%に達する。例えば北中城村の大城集落。道沿いには芸大生のオブジェが飾られ、カー(湧き水)を保存した花いっぱいの憩いの場が各所にある。散策していると、住民から声を掛けられた。地元の子供たちは、自然にあいさつをする。また本部町備瀬のフクギ並木は、訪問者のための優しい空間を集落の人がつくってくれている。
 里帰りでは沖縄らしさに接し、至福の時を過ごせた。ありがとう、沖縄。
(鈴木多美子、米バージニア州通信員)