【島人の目】「日本のエジソン」の講演


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社

 青色発光ダイオード(LED)や通信機器に使われる青紫色半導体レーザーの技術を開発し、ノーベル物理学賞も近いといわれる日本人科学者中村修二博士(58)の講演会を聞く機会に恵まれた。人がやらないことをやる、永遠のサラリーマンにはなりたくなかったと力説する中村博士の話は多くの示唆に富んでいた。

 中村博士は「日亜化学での年収500万円が1千万円になった時に、アメリカならもっとすごい収入になる、こっちへ来いと米国人の友人に勧められた。アメリカではベンチャー企業で50億から100億円も稼ぐ人がいるというのに、日本では永遠のサラリーマン、それで終わりたくなくてアメリカ移住を決行した」と述べた。さらに「アメリカではほとんどの教授が自分の会社や設立に関わったベンチャー企業を持っている。大学側にしても、優秀な研究者がいれば企業から研究資金を引っ張ってくることができるというメリットがあるのです」と米国の大学と企業の良き連鎖を説明した。
 2000年にアメリカ移住するまでに青色発光ダイオードをめぐる訴訟問題など多くの困難があったが、それを乗り越えて今がある。「現在のあらゆる照明はいずれほとんどがLED化されて世界の光を変えるでしょう。電気代が10分の1で済むから。液晶薄型大画面スクリーン、電飾あふれるラスベガスのLED化は既に始まっている。日本ではかなわない夢がまだアメリカにはある。アメリカでは私を日本のエジソンと呼んでいます」など、印象深い講演であった。(当銘貞夫ロサンゼルス通信員)