【アメリカ】震災の恐怖越えて 人間国宝の照喜名さん、米で祝賀会参加


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ロス朝一会祝賀公演のフィナーレ=ウェストハリウッド

 3月11日に東日本大震災の恐怖を経験した沖縄出身の夫婦がいる。東北地方ではなく、機上での経験だ。国指定重要無形文化財保持者(人間国宝)の照喜名朝一さん(79)と妻栄子さんである。

 二人は3月12日にハワイ・ホノルルで予定されているホノルル・フェスティバルに向けて全日空機に乗り込み那覇空港を成田へ向けて機上の人となった。成田到着30分前に東北地方で地震の報告があり、同機は茨城空港へ緊急着陸をした。1時間ほどしたら同空港のターミナル・ビルが被災、同機は羽田空港に向かった。
 羽田に着いたがすべての交通機関がまひ状態。二人は他の乗客同様、ターミナルのフロアで段ボール箱をつぶした上で一夜を過ごすことになったのである。翌朝二人はハワイ行きの飛行機があるのではと友人の車で成田へ向かった。通常2時間のドライブがその日は8時間かかった。
 運よくホノルル行きの飛行機に空席があり、搭乗することができた。6時間後にホノルルへ着いた。当地で初めて地震と津波の被害の大きさを知ることができた。
 さすがに初日の「交流会」には心が落ち込んで参加できなかったが、12日にはホノルルでパレードに参加、グランド・マーシャルの大役を担った。
 19日にはロサンゼルスで「ロサンゼルス朝一会」設立祝賀会が500人が見守る中、盛大に開催された。壇上で照喜名さんは「若者がお互いをかばい合いながら、朝一会を盛り上げてきていることに無上の喜びと幸せをかみしめている」と涙を拭った。
 後日、謝礼として2千ドルが照喜名夫妻から北米沖縄県人会に送られてきた。(当銘貞夫通信員)