【島人の目】リトルヘッド


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 人材が唯一の資源といわれるシンガポールでは英語による教育が行われ、中国語も重要科目として教えられている。息子のKOAも小学校低学年になり、今後学力別クラス編成などの競争社会の仲間入りとなる。

 今後、随時行われていくテストでクラス分けが続き、結果が悪いとどんどん大学進学コースなどから外れていくので真剣である。学校以外にも英語、中国語、算数の塾にも通っており、スペル、漢字、発音などに頑張っている姿を頼もしく思うと同時に、難しい問題に悩んでいる姿に心を痛める時もある。
 英語と中国語はいいが、KOAの日本語のレベルはかなり低い。これは私に責任があるのだが、英語と中国語がどうしても優先順位が高く、難しい問題である。せめて、私といる時だけでも日本語を身に付けてもらいたいと、日本語の教育をしていたが、ある日、突然、私と外出するのを嫌がり始めた。妻に「僕のこの小さな頭には英語と中国語がいっぱいで日本語まで入らない、お父さんと日本語を話すのが苦痛」と話していたらしい。これには大変びっくりしたが、苦痛に感じるくらいなら、逆効果なので彼には「日本語は親しむ程度でいいし、聞くだけでいい。英訳はするので意味を感じるだけでいいし、テストは絶対ないよ」と言ってあげたら気持ちが少し楽になったようだ。
 子供の能力、特に語学能力はすごい潜在能力があると信じるので、これからも負担にならない程度に日本語は当然教えていくし、彼が興味を持った時に自分で習得しやすいよう手助けだけは継続していきたい。
(遠山光一郎 シンガポール在住、会社経営)