【島人の目】被災地支援コンサート


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 東日本大震災の被災者の皆さんのために何かできないかと遠いイタリアで考え続けていたが、先日自宅でチャリティーコンサートを開くことができた。
 古い貴族館であるわが家では、「慈善」行事の晩餐(ばんさん)会やコンサート、各種展示会などがよく開催される。村役場(コムーネ)や妻が関わる慈善団体などが主催するのである。中でも妻と慈善団体の「マトグロッソ」が協力して行うチャリティーコンサートは、ミラノのスカラ座の楽団員などに協力を願って、ほぼ毎年開かれている慣例催事。アフリカや南米などの貧しい人々を支援するための活動である。

 それらのイベントには、ロケやリサーチなどの仕事で家を空けていない限り、僕も積極的に参加してきた。が、それは僕自身が主体的に動くのではなく、どちらかというと受け身の活動だった。
 しかし、今回は僕が先頭になって動いた。東日本大震災の被災者のためにぜひ支援コンサートを開こうと「マトグロッソ」のボランティアの皆さんに働き掛け、そこにミラノからの援軍も加わって実現した。
 コンサートには在ミラノ総領事の城守茂美さんをはじめとして、普段よりも多い聴衆が詰め掛けて盛況になった。そこで集まった義援金は陸前高田市の福祉団体に送られた。
 被災地の復興への苦しい道のりはまだまだ遠いことを熟知しつつも、ささやかながら被災者の皆さんへのエールを送ることができて、少し心が晴れた気分でいる。
(仲宗根雅則、TVディレクター)