【島人の目】平和


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 西原町立西原中学校教諭仲程奈緒子さんから「慰霊の日」にちなんでHYのヒット曲「時をこえ」の歌詞とメロディーがメールされてきた。「時をこえ」は沖縄風のフォークソング、歌詞は平和を願う内容となっている。仲程さんは最近道徳の授業で、沖縄県出身のHYが歌うこの曲を取り入れ、生徒に戦争の惨めさ、平和のありがたさを語り聞かせた。

仲程さんは1年間のカリフォルニア州立大アーバイン校留学経験者である。
 慰霊の日の6月23日に糸満市摩文仁で開催された沖縄全戦没者追悼式で、自作の詩「幸せの一枚」を嘉味田朝香さん(13)=浦添市立仲西中2年=が朗読した。県平和祈念資料館の2009年度第19回「児童・生徒の平和メッセージ展」詩部門・中学生の部で最優秀賞に選ばれた詩「刻まれた名前」の又吉まことさんも仲西中出身である。
 仲程さんは「毎年この平和の詩を道徳の授業の中で取り上げています。今年も『幸せな一枚』をクラスの子に読み聞かせました。これからは私たちのような戦争を知らない人が増えていきます。今のうちにたくさん経験者から話を聞き、戦争は二度と起こしてはいけないのだと教えていかなければならないと思います」と追記してきた。
 西原中学校の平良嘉男校長は昨年パリ国立東洋言語文化大学で、52年前に起きた宮森小学校に整備不良の米軍ジェット機が墜落した事故の生き残りとしての証言をした。今夏ロサンゼルスでも「次世代に残す沖縄とは」とのタイトルで講演を予定している。
 アメリカ人が持つ「戦争と平和の概念」は日本人とのそれとギャップがあることは間違いない。多くのアメリカ人は沖縄の米軍基地は沖縄の経済発展に大きく貢献していると考えている。沖縄の住民の大多数が米軍基地の移転を切望していることをアメリカ人はあまり知らない。その意味でも私は市民レベルでの話し合いは重要だと考える。
(当銘貞夫、米国ロサンゼルス通信員)