【キラリ大地で】ロサンゼルス “裸一貫”からすし店経営 新垣哲男さん


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宮里藍選手とのツーショット写真を手に笑顔の新垣哲男さん=ウォルナット市の「忍者寿司」店内

 ロサンゼルスから高速道路(フリーウエー)で東へ40分ほど走るとサンゲーブル平原ウォルナット市にたどり着く。中堅クラスのさまざまな人種が住む所で、アジア人も多い。アメリカ経済不況のあおりで空き店舗が目立つモールの一角に「ニンジャ スシ(忍者寿司(すし))」がある。新垣哲男さん(61)=旧大里村出身=が本土出身のパートナーと共同経営する「寿司処」である。

 新垣さん(通称哲っちゃん)が沖縄を出てアメリカへ行く決意をしたのは、24年前。すし職人として働いていた店を辞めて、裸一貫ロサンゼルスへやって来た。にぎりの経験を生かして、すしレストランで働き貯金、ウォルナット市に本土出身者との共同出資で小さなすしレストランをオープンした。20年前のことだった。
 この辺りには沖縄からの移民も多く、ゴルフ、仕事の帰りに哲っちゃんの店に立ち寄る。泡盛やオリオンビールがあり、ゴーヤーチャンプルー、豚肉のソテー、沖縄そばなど「沖縄料理が食べられる寿司処」とお客の評判を呼んで、にぎわいを見せている。ウエートレスの和田みゆきさん、にぎり職人の仲程実栄さんも沖縄出身だ。
 哲っちゃんの趣味はゴルフ。沖縄にいるころから始めて30年の経験者だ。今年3月、ロサンゼルスの隣接都市インダストリーヒルズでLPGA(全米女子ゴルフ選手権)の試合を見に行った。試合終了後、宮里藍選手や宮里美香選手に気軽に話し掛けたところ、一緒に写真を撮った。
 「この年になるまで良縁に恵まれず独身を通しているが、肩の凝らない気ままな雰囲気で生活できるアメリカが好きです」と哲っちゃんは現状に満足げだった。
(当銘貞夫通信員)