【ブラジル】王朝時代の三線確認 派遣調査団が鑑定


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三線を鑑定する(左から)外間善盛さん、岸本吉雄さんら=サンパウロ市

 移民と共に海外に渡った三線の鑑定と、純粋な「しまくとぅば」の収録を目的とした県対米請求権事業協会派遣の調査団一行6人が、7月7日から16日までブラジルに滞在し調査を行った。三線の鑑定では、琉球王朝後期の名器が確認されるなど52丁の三線所有者に鑑定書が授与された。「しまくとぅば」収録では、今後収録内容を編集・CD化し、保存伝承に役立てることにしている。(与那嶺惠子通信員)

 三線の鑑定は、琉球三線楽器保存育成会の岸本吉雄会長、外間善盛副会長、岸本尚登会員が担当。サンパウロ市のブラジル沖縄県人会本部会館とカンポ・グランデ支部会館での鑑定の結果、52丁の三線の所有者に「鑑定書」が授与された。
 サンパウロ市では琉球王朝時代後期(1840~60年代)のものとされる「平仲知念型」の三線が確認され、88歳の岸本吉雄氏は「ブラジルに来たかいがあった」と喜びの声を上げた。
 この三線は、故和宇慶朝幸・ブラジル野村流音楽協会元支部長が1956年にブラジルに移住する際に、勤めていた旧具志川市兼原小学校職員、児童、父兄から送別記念に贈られたもので、現在孫の大城敏子さんが所有している。
 鑑定会場では三線愛好家や製作者が展示された「眞壁」「与那」「知念大工」などの「型」の原寸図や、棹(さお)の型、長さ、重さ、材質などを綿密に調べる鑑定方法に見入っていた。ブラジルでは黒木の「眞壁型」が多く、明治初期・後期それぞれ2丁、大正期8丁、昭和初期7丁も確認された。
 外間氏は「三線の状態を見ればどれだけ愛用され大事にされてきたかが分かる。それぞれの三線にブラジルのウチナーンチュのドラマを感じた」と話していた。