ルーツに思いはせて 「移民の父」県系人も顕彰


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 第5回世界のウチナーンチュ大会まであと4日に迫った。参加者が続々沖縄入りし、8日は県内各地で歓迎会やシンポジウムが開かれた。「移民の父」と呼ばれた當山久三を生んだ金武町では「世界のシマヌチュ歓迎式」が開かれ、各国から帰郷した県系人らと共に當山を顕彰。ルーツに思いをはせつつネットワーク構築を誓った。名護市ではニューカレドニアの県系人との交流事業を実施。沖縄日系人会は集会室などを備えた施設「沖縄の家」が11月、同地に開設する予定で、ネットワークの拠点となりそうだ。

 【金武】金武町の偉人で海外移民の道を開いた當山久三の顕彰式が8日、同町の雄飛の森で開かれた。儀武剛町長や地域住民の他、第5回世界のウチナーンチュ大会に参加するために沖縄を訪れた町出身者などが参加して當山久三の功績をたたえた。
 式では地域の子どもたちで構成する「當山久三ロマン演劇団」が太鼓の演奏を披露して幕開けを飾った。儀武町長は「海外に移住した県出身者はあらゆる分野に進出して活躍している。里帰りした町出身者と交流を深め、金武町と移住者のネットワークを築きたい」とあいさつした。献花では町老人クラブ連合会や町婦人連合会、小中学生代表の他、ハワイや南米など各地の町人会長が参加して當山久三の銅像に花を供えた。
 7年ぶりにボリビアから帰郷したという同町並里出身の伊芸正健さん(73)は「世界各地で頑張っている友人に会えて楽しい。町はだいぶ整備されているが、故郷は何年たっても懐かしい」と笑顔を見せた。ハワイから訪れた當山悦子さん(83)は「父親が中川区の出身だけど、今まで話を聞いたことがなかった。父親のことなどいろいろと調べたい」と目を細めた。
 式典終了後には町立中央公民館大ホールで「世界のシマヌチュ歓迎式」が開かれ、海外に移住した町出身者が交流を深めた。世界のウチナーンチュ大会に合わせて金武町まつりも催され、多くの町民でにぎわった。