日本語の会話減少 ボリビア子弟 沖ボ協会調査


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社
県ボリビア派遣教員25周年記念誌でボリビアの県系子弟のアンケートを紹介した沖縄ボリビア協会の宮里哲夫会長=11日、琉球新報社

 ボリビアの県系社会に関し1997年に比べて2010年は、日本語よりスペイン語で話す子どもが増えているという結果が出た。日本語や沖縄のチムグクルの継承が県系社会の課題だが、日本語教育が進んでいるボリビア社会でも日本語を話す若者の数が減る傾向にあることが鮮明に出た。沖縄ボリビア協会(宮里哲夫会長)が10日に発行した県ボリビア派遣教員25周年記念誌で紹介している。

 調査は宮里会長が実施。6~15歳の子どもたち(97年は81人、10年は88人)に97年、10年それぞれ1カ月かけて聞き取った。
 「家族がそろっているときはどの言語で話すか」との質問では「スペイン語だけ」「どちらかといえばスペイン語」の回答が97年は7・4%だったのに対し、10年は34・1%と大幅に増加。「日本語だけ」「どちらかといえば日本語」は97年が37・0%だったが、10年は27・2%と減少した。
 入植から43年が経過した97年で「沖縄語(方言)だけ」は既にゼロで、方言はほぼ継承されていない。
 さらに「日本人の友達と話すとき、どの言葉で話すか」との質問では97年は「日本語だけ」「どちらかといえば日本語」が「スペイン語だけ」「どちらかといえばスペイン語」を8・6ポイント上回ったが、10年では「スペイン語」が「日本語」を6・8ポイント上回った。「沖縄語」は97、10年ともにゼロ。
 一方、「あなたはボリビア人と思うか日本人と思うか」では97年は「ボリビア人」が「日本人」を19・7ポイント上回ったが、10年は「日本人」が「ボリビア人」を13・6ポイント上回った。
 宮里さんは、86年から始めた沖縄からの教員派遣事業が今年で25周年を迎えることに触れ「事業の成果もあり、日本人や沖縄県人であるという意識は高まっている」と分析。その上で「日本語や沖縄語が失われる危機感は現地で非常に強いが、若い世代にうまく継承されていない。チムグクルも日本語が継承されないと失われる可能性がある」と述べ教員事業の継続も含め、日本語教育の施策を講じる必要があるとの考えを示した。
(宮城久緒)