【アルゼンチン】波乱の家族史も 北中城村人会が記念誌


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北中城村人の人生の物語などが記された在アルゼンチン北中城村人会創立50周年記念誌

 今年創立50周年を迎えた在アルゼンチン北中城村人会は、このほど152ページにわたる優れた内容の2カ国語の記念誌を発刊した。会員名簿や家族構成、大学卒業者名簿のほか、出身別の戦前移民名簿、戦後移民名簿、母村北中城の歴史、貴重な記念写真、研修生の沖縄体験、若者たちの活動状況、演芸会で披露された出演者の説明(琉球舞踊、民俗舞踊、夢海渡太鼓、琉球サプカイ、タンゴ)などを盛り込んでいる。

 特筆されるのが14人の私的物語や家族史。その中の安里昌繁さん(86)の物語「移民裏面史」は、アルゼンチンの厳しい生活の中で息子を医師に育て上げたロシア人女性を描いた「ロシータ物語」や、戦前に宝くじを当てた2人の男性のその後の波乱の人生を紹介している。
 比嘉洋二さんは、35年前に行方不明となったままの兄弟への思いを記述。「私の記憶には彼に関する良き思い出のみ残っており、彼と50年前に在アルゼンチン北中城村人会を設立された今は亡き方々に祈りをささげたい」と記している。
 この記念誌の豊かな内容は、在アルゼンチン北中城村人の子弟たちとアルゼンチン社会との融合を輝かしく証明している。
(大城リカルド通信員)