「本部に住むことに誇り」 JETプログラムで赴任のキャサリンさん(テキサス州)


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上本部中学校教職員たちと昼食を楽しむキャサリンさん(左から4人目)=上本部中学校

 上本部中学校に今年8月からテキサス州ダラス生まれのキャサリン・ストロングさん(22)が、JETプログラムでアシスタント教師として赴任している。大都市に生まれ育ったキャサリンさんにとって、沖縄の北部の田舎への赴任はショックだったが、今では豊かな自然に恵まれた本部町は「まるでパラダイス」と感激し、生徒や職員たちと楽しい学校生活を送っている。

 日本政府は海外の青年を招致し、日本全国の教育機関の国際交流と外国語教育の充実を図ることを目的にJETプログラムを推進している。主に英語教師として、日本各地の小・中・高校で指導に当たる。同プログラムは1987年に始まり、2011年は39カ国から4330人が参加した。そのうちの一人がキャサリンさんである。
 キャサリンさんは今年5月にロサンゼルス近郊のポモナ・カレッジを卒業。専攻は英語でサブに日本語をとった。しかし、アメリカ経済も良くならず、就職の当てもなかった。そんな時、高校時代に東京で過ごしたこともあり、JETプログラムのことがふと頭に浮かんだ。すぐに申請を決意した。
 東京などのメトロポリスか、でなければ北海道を希望した。夢は膨らむばかりだったが、通知を見てぼうぜんとした。なんと沖縄の北部・本部と書いてあるではないか。どんな所かグーグルで調べた。全くの田舎である。ショックだった。
 だが自分勝手に変えることはできない。8月になり本部に着任した。どんな田舎かと想像したが、しかしどうだろう。ここにはコンクリート塀に囲まれた基地はなく、全てが絵に描いたように美しかった。パラダイスに見え一瞬のうちに好きになった。
 夏休みが終わり、クラスが始まってもっと本部が好きになった。先生方もヘルプするし、生徒にも興味深いものを感じた。授業は楽しく、生徒と一緒に昼食を共にするのがなお楽しい。生徒たちは英語の時間になるとよく居眠りするが、それは自分の授業方法が悪いのだと反省することにしている。
 ここ上本部は沖縄でも貧しい農村地帯だが、ここに住んで思うことは「私は軍人ではなく、一アメリカ市民で本部に住むことに誇りを感じている。うそ偽りなく仕事に行くことが楽しい。通勤する車の窓から見える空を見上げながら『自分は天国に住んでいるんだ』と言い聞かせる。なんと今朝は虹が見えた」とキャサリンさんは胸の内を吐露した。(当銘貞夫通信員)