「真珠湾」体験を後世に ハワイ沖縄系図研究会


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 ハワイ在住の沖縄県系人らを中心につくる「ハワイ沖縄系図研究会」(古波蔵ラッドニー会長)はこのほど、真珠湾攻撃の当時にハワイに住んでいた県系人の証言などを一冊の本にまとめた。題名は「Talk Stories(トークストーリー)第5号 2011」。太平洋戦争中に沖縄、日本、米国の立場で複雑な状況にあった県系人らの体験談などをつづった。

日米開戦70年を経て体験者が高齢化し減る中、貴重な記録だ。
 同研究会はハワイ沖縄連合会に加入する活動団体の一つ。1993年に発足し現在の会員は100人余。県系人以外も沖縄に興味を持つ日系などの米国人らも参加し主に沖縄の歴史や文化、系図などに関し調査や講演活動をする。成果は定期的に「トークストーリー」のタイトルで本にまとめる。
 今回の「トークストーリー第5号」は2章で構成。このうち第1章「1941年真珠湾攻撃の思い出」の中で会員のうち県系1世・2世の17人の証言者に聞き取り調査し体験談としてまとめた。
 真珠湾攻撃の日、米軍が日本の飛行機へ砲撃した弾が、地上の建物に落ちて家が焼けたとの証言や子どもだった県系人が見聞きした体験談なども紹介している。
 編集委員長を務めたナカマ・レスさんは前書きで「実際にその日を体験した生存者が会にいることは幸運だ。もっと話を募って文書に残したい。幼年期や大恐慌時代の生活などの興味深い話が満載だ。出版に当たり、当時の沖縄やハワイの状況を心を開き話してくれた会員へ感謝する。会の協力なしでは、このような体験談は失われていたに違いない」と意義を強調した。(古堅一樹)

英文へ→Okinawan Genealogical Society of Hawaii publishes a book of stories of Okinawan Americans who remember the attack on Pearl Harbor

「トークストーリー第5号」をまとめた「ハワイ沖縄系図研究会」=4日、米ハワイ州オアフ島のハワイ沖縄センター(撮影・名護千賀子通信員)
県系人の「真珠湾」体験などをまとめた「トークストーリー第5号」