【島人の目】年賀メール


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 年賀状の代わりに年賀メールを送るようになって何年かたつ。僕は葉書(はがき)よりもインターネットで新年の挨拶(あいさつ)をする方が好きである。
 イタリアから日本に年賀状を送るのは骨が折れる。何よりもまず、年賀便がきちんと元日に配達されるのかどうかが分からない。年賀メールに替える以前は、12月も結構早い段階で日本に向けての年賀状を送付していた。

 ただ年賀状といってもカードに新年の挨拶をしたためて、封書に入れる形を取った。イタリアには年賀葉書は存在しないからだ。
 封書には、宛先に加えて日本語で【年賀】という赤いスタンプを捺(お)して投函(とうかん)した。そうしておけば、日本の郵便局が気を利かせて元旦に配達してくれるのではないか、と思ったのである。配達日が実際に元日になっていたかどうかは正直に言って分からない。確認したことがなかったのだ。
 配達日があなたまかせになる年賀状とは違って、年賀メールは自分の責任で確実に元日に送付することができる。挨拶文は年賀状と同様に正月の前から準備をしておかなければならないが、僕は12月31日の夜中にPCの前に陣取って、イタリアの年が明けた瞬間から一つ一つ送信を始める。それは日本時間の正月の朝8時である。
 まさしく元日に新年の挨拶をする、という本来あるべき形で年賀を送れるのがメールの良さである。もしかすると、予約制で元旦に一斉に年賀メールを送る自動発信機能が存在するかも、と書きながら気づいたが僕はまだ知らない。
(仲宗根雅則、TVディレクター)