【島人の目】戯曲―カクテル・パーティー


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 新年が明けて間もなく、作家の大城立裕さんからEメールが届いた。琉球新報に掲載された私の記事とコラムを「とても興味深く読みました」とのメッセージで、さらに「去る10月にハワイで拙作『カクテル・パーティー』の戯曲の朗読劇を上演していただく光栄に浴しました。

公演に尽力してくださったハワイ大学のスチュアート教授は、これをカリフォルニアでも上演できないかと、ウエウンテン教授などに相談しているそうですが、みなさんのお力で実現すれば有難いと思います」と続いていた。
 その翌日大城さんはハワイ公演の感想文や戯曲のアウトラインなどの情報が盛り込まれたウェブサイト4個をEメールで送付してきた。私は一応目を通してから県人会の理事役員に転送して、理事会で検討してくれるよう要請した。山里勝己琉球大学教授にも同時に送付した。
 山里教授は、昨年12月27日付琉球新報社説にあった「作家の大城立裕氏の芥川賞受賞作『カクテル・パーティー』戯曲版(英語)は、英訳によって沖縄の置かれる現状を文学を通して世界に伝えられる可能性を示した」との一文に触れ、英訳した一人として「ぜひ北米大陸でも戯曲公演を実現し、二世、三世の若い世代にも見てほしい」と返事があった。
 1月17日に大城さんから岩波現代文庫本「カクテル・パーティー(2011年9月発行)」がわが家に届いた。日本語版未発表の「戯曲 カクテル・パーティー」も初収録されている。1967年、沖縄初の芥川賞受賞作品をまだ読んでいなかったので、実際同書を手にしたときに深い感動を覚えた。大城さんはご自分のエッセイ集「縁(えにし)の風景」を去年私に送ってこられたので、今回が2冊目となる。
 今後県人会の理事会で本格的に検討され、ウェスリー上運天サンフランシスコ・ステート大学准教授とも話し合いを進めて、北米での上演実現の可能性を探り、大城さんの願いに応えたい。
(当銘貞夫、米ロサンゼルス通信員)