【キラリ大地で】アメリカ 公立学校日本語教師 金城翔太さん


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メリーランド州の公立学校で日本語教師として教壇に立つ金城翔太さん

 「将来は、大学院で教育テクノロジーを学び、そのテクノロジーを語学教育に生かせる効率良い教授法に取り組みたい」と熱弁するのは那覇市出身の金城翔太さん(25)。現在、米国メリーランド州の公立学校で日本語教師として教壇に立っている。

さらに「イラストレーションも本格的に勉強し、自分流の挿絵入りの語学教科書作りを考えている」と続け「いずれは、沖縄に帰り故郷のために貢献したい」と話した。夢を語れなくなった若者たちが取り沙汰される昨今、翔太さんは「やりたいことがたくさんある」と目を輝かせた。
 高校卒業後、米国オハイオ州のケントステート大学に進学し、英語教授法を専攻した。教育実習を行いながら2008年に卒業。時は折しもリーマン・ショックの真っただ中。米国で就職せず沖縄へ。だが、沖縄では仕事がなくもんもんとした日々を送っていたが、意を決して昨年オーストラリアに渡り、日本語教師の資格を取った。
 文化交流を通して日米関係を円滑に進めるプロジェクトが実施され、外務省の外郭団体である国際交流基金によって若者たちが日本語教師として米国に派遣されることになった。求人案内を見た翔太さんは、東京での面接に赴き、見事その第1期海外派遣教師に選出された。
 現在、上級クラスと短期大学レベルのクラスを担当しながら各クラスのアシスタントを兼任している。「アメリカの高校生が日本語を勉強する動機は日本のアニメ。他にも日本のサブカルチャーのことをよく知っている」と語る。教壇に立つ喜びを「今まで紙を見ながら発表していたが、いろいろ工夫して自分の言葉でプレゼンテーションができるようになり勉強の成果が着実に出てきている。また悩み多き10代の若者たちの精神的成長を先生として見ることができるのがうれしい」と公私共に生徒を思う気持ちを話した。
 日米の教育現場の違いについて「日本では、受験のための勉強法が目立ち、いい大学に入ることが目的とされ、詰め込んでは忘れる方式。学習目的や知識の役立て方を教えてくれず、教えを育むということが存在しない。半面アメリカでは、学習者はゴールを明確にした上でそれに向けて習得するために学び、教師は習得させるためにはチャンスを与え全力でサポートする姿勢がある」と話した。
 語学教師について、翔太さんは「自分の専門分野なので飽きることがない仕事。毎日が新鮮で生徒たちからたくさんのことを学んでいる」と語る。昨年からワシントンDC沖縄会にも参加し、今年は文化部長に登用され役員の一人になった。新年会では、受付を担当し、また参加者に書道を披露した。自己啓発のため努力してきたと言う翔太さんは、全て積極的に前向きに挑戦している。
(鈴木多美子通信員)