【キラリ大地で】ワシントンDC 母の影響で三線習う ロジャー・ヤマダさん


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沖縄に興味を持ち、伝統芸能にも積極的に取り組むロジャー・ヤマダさん

 各県人会では次世代への沖縄文化の継承をどのような形で行っていくかが大きな課題になっている。幸いにもワシントンDC沖縄会には、沖縄に興味を持ち、沖縄の伝統芸能に積極的に取り組む一人の若者がいる。彼の名は、ロジャー・ヤマダさん(19)。名門バージニア工科大学の2年生だ。祖母(現ハワイ在)は沖縄系で沖縄市で育った。

 ロジャーさんは、母親の影響で1年前から三線を習い始め、ワシントンDC三線グループの一員になった。今年の新年会では、三線を弾きながら家族で「安里やユンタ」を歌い、時間があると友人の経営するレストランで三線を披露している。また、高校生の時から空手も学んでいる。
 現在、勉学のため家から5時間ほどかかる大学の寮に住んでいる。ロジャーさんの専攻は、数学とコンピューターサイエンス。高校生の時は、加速課程(学習能力の高い生徒を短時間に進級させる課程)のため短期大学での履修を続け、高校卒業時には、科学学科の数学の準学士の学位を取得した。それが評価され、ある企業から2万ドルの奨学金を得て、沖縄会からも奨学金が贈られた。
 ロジャーさんは「将来の夢はコンピューターサイエンスと数学の博士号を取ること」と話す。「もう一つの夢は、母と祖母と共にまだ見ぬ沖縄を訪ねること」と続ける。母親は「息子は、沖縄人としてのアイデンティティーを少しずつ自覚しつつ、それを誇りに思っている。そして沖縄のこと、自分のルーツについて知りたがっている」と話す。
 ロジャーさんは、大学で数学とコンピュータープログラムの二つのクラブに属している。数学クラブでは代表となってクラブの運営に携わり、専門家による数学関連のスピーチを計画したり、皆で解く問題を考えたりしている。ちなみに前回は「無限次元の空間のひろがりの度合いを表す数」についてメンバーで論議した。
 高校生の時からボランティア活動を積極的に行い、中学生にチェスと数学を指導していた。そして今年の新年会では、音響を担当した。
 勉学に秀でているだけでなくボランティア精神も発揮し、家庭においては弟や妹の面倒を見る頼もしい兄として家族思いの心の優しい一面もある。将来が楽しみな好青年、ワシントンDC沖縄会のホープの一人である。
(鈴木多美子通信員)