【島人の目】多国籍都市ニューヨーク


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 かつてアメリカは、あらゆる民族と文化が溶け合っている国といわれ「メルティング・ポット」と呼ばれていた。いつのころからか、それぞれの野菜がそれぞれの性質を主張しながらも全体と調和しているというところから「サラダボウル」と言われるようになった。

 10月末、そのサラダボウルを凝縮したようなニューヨーク市へ沖縄からの友人と共に観光に出掛けた。私の住むバージニア州からバスで北上すること6時間。そのバスは、数年前から運行し始めたチャイナバス。驚くなかれ片道15ドルという安さ。バスに乗リ込むとさらにびっくり。満席のバスの乗客のほとんどは黒人だ。今やチャイナバスは、大都市と各州のメーンシティーを結ぶ交通手段として網羅している。商魂たくましい中国人、そして、その恩恵にあずかる黒人たち。ここでも他民族同士の共存を垣間見たよう。
 マンハッタン島のダウンタウン中華街で下車した。決して清潔できれいとは言えない町だが、朝から活気に満ちていた。中華街の隣は、イタリア街。後日イタ飯好きな友人とそこで本場? のイタリアンをいただく。量の多さと安さ、何より味の良さに満足した。
 続くはユダヤ人街。山高帽と長ひげ、黒ずくめの服の男性たちがいかめしい顔で闊歩(かっぽ)している。エンパイア・ステートビルの近くには、ハングル文字の看板がひしめくコリアンタウン。アクセサリーの小物等が安く、焼き肉レストランも人気だ。
 昼食に入ったレストランはラテンの音楽をガンガン鳴らしていたヒスパニック系が働く店。極め付きはタクシー。インドやバングラデシュからの運転手が荒いハンドルさばきで接触スレスレに運転。何度か悲鳴を上げた。
 10月末は、ヨーロッパの国々は、秋休み。ドイツ、フランス、イタリアからの観光客が観光スポットにめじろ押し。世界の言語が飛び交っていた。
 コスモポリタン、ニューヨーク市。多種多様な民族が共存し、サブカルチャーが、たくましく息づいているのを2年ぶりのマンハッタンで再確認した。(鈴木多美子、米国バージニア通信員)