【島人の目】復帰40年シンポジウムの成功願う


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 カリフォルニア州バークレーにあるセオロジカル・ユニオン総合宗教大学院のロナルド仲宗根教授と会った。アイリーン夫人が琉球箏曲興陽会LA支部師範伝達式で師範免許を授与された席上であった。同教授は私にお願いがあるのだが、と話題を持ち出した。2009年8月27日に行われた北米沖縄県人会100周年記念祭で沖縄県立芸術大学の波照間永吉教授の講演を英訳したのだが、波照間教授の講演内容は後世に残せる素晴らしい内容であったので、講演と英訳を何らかの形で出版できないかとの相談であった。

 早速私は両教授に論文を送付していただき、検討を始めた。仲宗根教授はハワイ生まれの3世で、仏教学者。ハワイ大学、龍谷大学、ハーバード大学、ウィスコンシン大学で学んだ。『オキナワン・ダイアスポーラ』などの著書がある。
 波照間教授の講演内容は琉球文学の出発と言語、「祈りの文学」の示す琉球文学の固有性、祈りの心と「おもろさうし」、叙事的歌謡の示す独自性、劇文学と叙情詩の世界、新しい琉球文学の構想などが大まかな内容であった。
 波照間教授に関するもう一つの情報が娘の陽さんからメールで寄せられた。早稲田大学院博士課程で研究論文に取り組む陽さんによると、29、30、31日に早大で「復帰40年沖縄国際シンポジウム これまでの沖縄学、これからの沖縄学」が開催されるという。沖縄文化協会会長も兼務する波照間教授は実行委員の一人である。ヒュー・クラークシドニー大学名誉教授が実行委員長を務める。同シンポジウムは沖縄関係の研究者が集まって発表する場で、ベテランから若手研究者までそろう、大きなアカデミック・イベントになると陽さんは説明する。
 同シンポにパネリストの一人として参加するカリフォルニア州立大リバーサイド校の島袋まりあ准教授から「沖縄学入門」の著書を頂いていたし、また顔見知りのウエスリー・上運天さん、新垣誠さんらが出席するとのことで、今回のシンポジウムの成功を願い、注目している。
(当銘貞夫、米国ロサンゼルス通信員)