【島人の目】豊かな沖縄へのまなざし


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 海外の青年を招致し、教育機関で国際交流や外国語教育の充実を図る「JETプログラム」で去年8月に上本部中学校に赴任、さらに1年間滞在期間の延長が認められたアシスタント教師のテキサス州出身キャサリン・ストロングさん(22)に初めて会ったのは昨年10月に開かれた「第5回世界のウチナーンチュ大会」の一環「母校の後輩と世界について学ぼう」プログラムで講演した時だ。

 講演後、わずかな時間だがキャサリンさんと会話した。講演の感想や米国、本部についての短い話だったが、その時私はキャサリンさんに一つの申し出をした。宗教的、政治的な意見は別にして「本部にいる感想」を英文で書いて送ってほしいとお願いした。
 私が米国に帰って間もなくしてキャサリンさんから約束の文章が送られてきた。それを和訳して琉球新報に記事として掲載されたのは昨年11月21日だ。
 私の要請に応じて、2度目の英文「沖縄の感想」がキャサリンさんから送られてきたのは3月中旬。再び私は和訳に取り掛かった。
 キャサリンさんの英文はうがったところや誇張はなく、他人におもねることなく、自分で見た沖縄を尊敬の念を抱いて書き、私を魅了した。英和辞典を片手に、日系の血が混じっていない若い、一人のアメリカ女性市民の沖縄を愛する気持ちが表れた英文を和訳しながら、私は遠い対岸で故郷の沖縄のことを思い、胸に響いた。
 その内容は沖縄が長い間独立王国として文化・郷土芸能・習慣など沖縄の特殊性、それらが基盤となってオキナワンとしてのアイデンティティーやユイマールの精神・絆などが培われていることが、キャサリンさんの心に焼き付いたようだ。寄稿文が安易な「沖縄独立のすすめ」などではないことは明白だ。
 そのような感性は「第6回沖縄・提案―百選事業、世界のウチナーンチュと沖縄」の提案集にも見られる。キャサリンさんの志は米沖友好親善の礎となり、次世代へとつなぐ貴重なものになるだろう。
(当銘貞夫、米国ロサンゼルス通信員)