【キラリ大地で】アメリカ ベン比嘉さん(アーバン・ジャーナリスト)


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社
カメラを持ってインタビューに答えるベン比嘉さん=米カリフォルニア州ガーデナー市の自宅

 UCLA(カリフォルニア州立大ロサンゼルス校)アジア系アメリカ人研究センターはこのほど「アメラジア・ジャーナル」と題して200ページの本を出版した。内容は4部門に分かれているが、最大部門が「リフレクション(反射)」となっている。その一部にベン比嘉さん(42)が「スモーク&ミラー」と題してコラムを約10ページにわたって執筆している。

 べンさんは北米沖縄県人会前会長の比嘉朝儀、博子夫妻の次男で、アーバン(都会中心の)・ジャーナリストとして活躍している。ロサンゼルス生まれの2世で、カリフォルニア州立大ロサンゼルス校のジャーナリズム科を卒業、フォトジャーナリストとしても知られている。同書に使用されている写真はカバーを含めて大半がベンさんが撮影したものだ。
 1992年に発生した「ロサンゼルス暴動」は黒人のロドニー・キングさんが白人警官に袋だたきに遭った事件が発端で、韓国系人町に飛び火、人種問題へと大きく発展していった。死者54人、2300人以上の負傷者、10億ドル(約800億円)の損害を被った大事件が起きて以来20年目を迎えた。
 ベンさんのコラムは65年に起きたワッツ暴動にまでさかのぼり「そのような暴動の中での取材活動は想像以上に危険極まりないものであったが、それ以上に価値あるものになることを、自分自身に言い聞かせた。私の努力はきっとロサンゼルス近郊に住む、恵まれない人々の生活、事件の証言として、後世に残せるものになることを確信する」と結論付けている。
 4月12日のLAタイムズは20年前の「ロサンゼルス暴動」の特集を組み、現在でもアメリカのヘイトクライム(人種偏見憎悪事件)はあちこちで発生、つい最近、黒人少年が理由も分からず白人に射殺されているが、当時のような暴動には発展しないだろうと、専門家の意見や予想を掲載している。理由は当時と比較して人種間の対立はそれほど激しいものは感じられないとの判断からで、近辺住人にとっては良い報道となろう。
(当銘貞夫通信員)